じんましん
2015年06月01日
★静岡市駿河区「いのうえ皮ふ科」の じんましん のページです★
じんましんは頻度の多い病気です。一生のうちで5~7人に1人はなるとのデータもあります。
じんましんの見分け方
まず、皆さんが「じんましん」かどうかを見分けるポイントを書きます。
①蚊に刺されたような皮膚面の盛り上がりを生じる。これを膨疹と呼びます。
②発疹が数時間であとかたもなく消えてしまう。
③圧・掻破を加えるとその部分に発疹が生じる。ペンでこする方法でも確認ができます。この出かたを機械性じんましんと呼んでいます。
診察時に発疹が出ていなくても丁寧な問診により診断がつくことが多く、また治療もできますので、遠慮せず受診ください。最近は、携帯電話等で写真を撮影し持参していただいてご相談に来る患者さんも多く助かります。
原因は?
さて、じんましんの原因は・・「食物では?」と思いがちですが、実は70%以上は特発性といって原因が不明です。よって検査を検討しても原因が分からないのでほとんどしません。もちろん食物・薬剤も疑わないといけない場合もあるのですが、最大のポイントは再現性(特定刺激による誘発)です。また、特発性では呼吸苦、腹痛、気分不良などの副症状が出にくいのですが、逆にその症状が出た場合は原因の検索が必要になります。
※当院は救急指定病院ではないので、じんましん以外にも全身の症状が強く生じている場合は、十分な設備のある最寄りの基幹病院を受診するか、救急車を呼ぶなどしてください。
当院での治療は?
治療ですが、じんましんはほとんどの場合強い痒みを伴うため、患者さんにとってはかなり苦痛を伴うことが多く治療をすすめています。治療は症状のコントロールのため抗ヒスタミン薬の内服を使用します。特に1ヵ月以上続く慢性じんましんは重要です。患者さんによって出現する頻度や程度が異なりますし、生活環境も違います。当院では十分に患者さんの意見を聞きながら、生活に支障がなく満足できる治療目標を患者ごとに提案し、それに適したプランで治療を行っています。その観点では、漢方薬も処方することがあります。また、最近は、特発性慢性蕁麻疹には、抗IgE抗体(商品名:ゾレア)やデュピクセントによる皮下注射も行われるようになりました。デュピクセントは、アトピー性皮膚炎や喘息に実績のある薬で、最近になり特発性慢性蕁麻疹にも適応となりました。デュピクセントにつきましては当院で行うことが可能です。(※ゾレアについては、当院では行っていませんので基幹病院に紹介状を書いています。)
★抗ヒスタミン薬インフォメーション★
①眠気や仕事の効率を落とさない(インペアードパフォーマンスを向上させた)薬
②1日1回内服で効果のある薬
③食事の影響を受けにくい薬
最近は上記3点を重視した薬が好まれています。効果の素早さや効果の持続性など、内服薬によって特徴ありますので、効果が薄いと思っても、他の内服薬に切り替えて試してみるのも良いと思います。いろいろご相談ください。
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特殊なじんましん
じんましんもいろいろ変わったものがあります。頻度と重要性を考えて一部、列挙しました。
・コリン性じんましん・・10~20代に多い発汗刺激によるじんましんです。典型的な膨疹と形態が違う小さめの発疹が数分~30分で発疹が出ます。
・血管性浮腫(クインケ浮腫)・・顔面(特に口唇や眼瞼)に多いのですが、このタイプは1~3日続くことが特徴です。こんなに長く続いてもじんましんの仲間です。特発性が多いですが、薬剤性(アスピリン、高血圧の薬の一部)や遺伝性のこともあります。繰り返す例では血液検査で遺伝性のチェックを行います。
多種多様なじんましん。当院にてご相談ください。
(関連項目)