★皮膚科領域の漢方薬について~当院でも処方しています★
2017年01月04日
★静岡市駿河区「いのうえ皮ふ科」の 漢方薬・漢方治療 のページです★
最近は漢方薬が注目されています。漢方というと中国のイメージですが、実は日本独自の発展を遂げたくすりの一つです。
漢方薬は複数の生薬(しょうやく)を組み合わせた薬で、多くの有効成分を含んでいるため1処方でも様々な作用をもっています。よって、慢性的な病気の治療や複雑多彩な症状に効果を発揮します。西洋薬より副作用が少ないのも特徴です。
当院では、漢方治療も積極的に行っています。いろいろなケースでの処方例も多くなってきました。
小児でも治療できます。のみやすい薬もあります。
エキス剤または錠剤を使用しますので内服しやすく、健康保険で治療が可能ですのでご相談ください。
漢方薬は西洋薬の対立点におかれることが多いですが、私はそうは思っていません。当院では①西洋薬が基本であるが、漢方薬を加えることにより治療効果を高める意味合いでの使用方法 ②疾患によりますが西洋薬では治すくすりがないような難治性の皮膚疾患に対して積極的に使用する の2点を軸に漢方薬をすすめています。ただし、①については漢方になじみのない方もいますので全員にこちらからすすめてはいません。漢方に興味のある方は問診票、またはスタッフの問診や診察時にお伝えください。
皮膚病への適応は?
皮膚病への適応ですが、特に皮膚は内蔵の鏡とも呼ばれるように、何らかの体調の変化が原因で皮膚症状を生じているという考え方に基づいています。ですから、全身の状態をよく観察し全身に作用する漢方を選ぶと皮膚も良くなってくるのです。
漢方では「気・血・水」(き・けつ・すい)の概念が重要と考えられています。「気」は生命活動のことですが、不足する(気虚)、滞る(気滞)、過剰になる(気逆)と体に不調を生じます。その結果、「血」「水」(栄養などの物質を運ぶもの)の障害を起こし皮膚症状が発生します。よくある例を2つあげてみました。
例①:「血虚」(血が不足した状態)は栄養源が少ない状態なので皮膚が乾燥し脱毛になりやすくなります。
例②:「お血」「水毒」(血や水が一部に偏って過剰な状態)としての皮膚症状があります。特に血が滞ったところでは熱が発生(血熱)し炎症(皮膚炎)を起こします。熱の発生は甘いものを取りすぎるなどの生活習慣も関係します。
治療のアプローチは、原因からいく場合(本治)と結果からいく場合(標治)があります。状態や目的によってアプローチは様々です。
それ以外に体力があるか(実証・虚証)、暑がりか寒がりか(熱証、寒証)も参考にします。実際に皮膚科で使うことのある漢方薬は種類が多くおおよそ30~40種類くらいになりますので、それらを参考にして処方を決めます。
当院での実際の治療は?
当院での実際の診察ですが、訴え・症状を良く聞くこと(問診)、顔色、手足の状態、また舌の状態の観察(望診)、体内からの音や匂い(聞診)を中心に処方を検討します。まず2週間内服してもらい症状の具合を観察して治療の継続ができるかを判断します。効果は1~2か月を目安にします。
具体的な適応疾患一覧
・にきび・酒さ(しゅさ)・・・「お血」の程度、便秘の有無も参考にします。
・ほてり・・・・・・「気逆」「お血」の改善、熱をおさえる薬も使われます。
・乾癬・・・・・・・「お血」体質や食生活の改善をします。
・手足の冷え、しもやけ・・「血虚」の改善が主に必要です。「気虚」も考慮します。
・シミ・・・・・・・・「血虚」または「お血」が原因なのでその改善をします。
・乾燥肌・・・・・・・主に「血虚」の改善が必要です。
・小児乾燥型湿疹・・脾胃の虚証の改善が必要です。
・脱毛症・・・・・・・主に「血虚」の改善が必要です。
・じんましん・・・・「水毒」の改善や熱をおさえる薬が使われます
・多汗症・・・・・・「水毒」を改善する薬などが有効です。
・口内炎・口唇炎・・・胃の中の熱(胃熱)を改善する薬がありあす。
・花粉症・・・小青竜湯が代表的ですが、年齢や症状の程度によって「麻黄」の量を調整して処方します。
☆特に、にきびに対する漢方治療は積極的に当院で取り組んでいますのでご相談ください。
その他、各種慢性の皮膚炎(湿疹群)の改善にも効果を発揮します。
例:アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、主婦湿疹(手湿疹)、皮脂欠乏性湿疹
※重症のアトピー性皮膚炎では、ステロイドなどの西洋薬のコントロールが必要不可欠であり、当院では漢方だけでの治療は行っていません。
通常の治療に漢方薬を加えると、慢性疾患の皮膚病は改善しやすくなります。当院にご相談ください。
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