乾癬(かんせん)について

2024年10月01日

★静岡市駿河区「いのうえ皮ふ科」の 乾癬 のページです★

皮膚科で比較的頻度が高く治りにくい病気として「乾癬」(かんせんがあります。赤く厚いかさぶたを伴った特徴的な発疹を繰り返す、非常に難治性の病気です。

 

近年の「乾癬」の研究は目覚ましい発展をとげ、新しい薬や治療法が次々に出てきました。乾癬は患者の状況に合わせて治療するオーダーメイドの時代に入っています。乾癬のピラミッド計画は皮膚科最新の考え方であり、ステロイド外用・ビタミンD3外用、紫外線治療、レチノイド、シクロスポリン、PDE4阻害剤(アプレミラスト)、生物学的製剤といろいろな治療を重症度に合わせて選択していくことができるようになりました。一方、基幹病院と開業医が扱う治療も分担化されつつあります。

当院での治療について

当院で主に行っている治療は①ステロイド外用ビタミンD3外用などの外用治療、②紫外線治療を中心に、必要に応じて③アプレミラスト(商品名:オテズラ錠内服)の治療もすすめることがあります。

一方、「乾癬」の原因の一つにメタボリックシンドロームが強く関係しているということがいわれいます。「乾癬」が日本で最近、増えている理由は食生活の欧米化もあるのでしょうか。このように生活改善や体質改善は難治性の「乾癬」では非常に重要なことと私は考えています。漢方治療もその観点では非常に有効であると考えており、当院でもオーダーメイド治療の一環として取り入れています。

①乾癬の外用剤について

乾癬治療で使われる外用剤は、ステロイドとビタミンD3の配合剤が主流となっています。

1日1回塗って効果があるので、生活に負担がかからず継続して治療がしやすくなっています。

最近はいろいろな剤型がでてきており、治療が格段にしやすくなりました。軟膏、ゲル、フォーム剤があります。

特にゲル剤は頭皮にも外用しやすい剤型の薬になっており、頭皮の乾癬で悩まれている方も、治療が格段にしやすくなりました。また、ステロイドのシャンプー「コムクロシャンプー」など多彩な外用剤も出てきています。

また、2024年10月末には新しい乾癬の外用薬が登場します。

②乾癬に対する光線治療について

昔から日光に当たると、乾癬の皮疹が良くなることは知られていました。現在では、ナローバンドUVBのような紫外線治療器でお手軽に安全に治療できるようになっています。

 

理論的には、主に①病因となるT細胞にアポトーシス(※)を誘導する ②制御性T細胞を誘導する と言われており乾癬に対して効果を発揮すると言われています。

乾癬の発疹の改善だけでなく、乾癬に伴う痒みに対しても効果が出てきます!

当院では、全身型と局所型の2種類の治療機器があります。全身の病変には全身に照射できるキャビン型ナローバンドUVBを、また部分的に治りにくい病変にはターゲット型エキシマライトを組み合わせたり重ねたりしています。これにより、いろいろな病状に応じての治療を可能になっています。

★光線治療については、こちらを参照してください。

※アポトーシス:多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞死のこと。

③乾癬の内服薬:アプレミラスト(商品名:オテズラ)について

PDE4阻害薬に分類される内服薬です。

他の内服薬であるチガソン(レチノイド)やシクロスポリンに比べて長期的な副作用も少なく、安全性も高いため長期に内服しやすい薬になっています。内服している方の皮疹の出方はだいぶ発疹の頻度及び程度も少なくなるため、使用する外用量を減らすことが可能にな方が多い印象です。また、外用剤で効果の出にくい場所(頭皮や爪)にも良い適応と考えます。1か月で約1万7千円(3割負担)です。

④乾癬の注射薬:生物学的製剤 等 基幹病院での治療について

生物学的製剤は、「乾癬」の重症例やそれに伴う関節炎に適応があります。注射の治療です。薬の種類はたくさんあります。

B型肝炎や結核などの事前検査が必要です。当院では行っていませんので基幹病院に紹介をしています。

高額な治療なので、高額療養費制度や付加給付制度を活用する方も多いです。

また、最近では、基幹病院にて、注射ではなく内服薬であるデュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ)という選択肢もできたため、治療が行われています。

いろいろな選択肢もできているので、気軽にご相談いただければ紹介しています。

(2024年10月1日更新)