アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021年に改訂されました 雑感
2022年04月04日
このたびアトピー性皮膚炎の診療ガイドラインが5年ぶりに改訂になりました。
日本皮膚科学会の雑誌にも掲載されました。
感想を書きたいと思います。
今回の改訂のポイントで重要なのは、デュピクセント注射が記載されました。
・中等症以上に難治状態のアトピー性皮膚炎に、外用療法に併用して使用することがアルゴリズムに明記されました。
・また、寛解の維持(落ち着いている状態を維持)する治療法としても有用であることが明記されました。
そうは言っても、現状では高額な治療ですので、そのあたりが難しいところではありますが、難治性のアトピー性皮膚炎の治療の一つとしては重要な薬剤となっています。利点としては安全性が高いので、あまり検査はいらない点があげられます。
面白いのは、寛解維持(落ち着いている状態を維持)にも有用ということで、続けることに意義があるということです。以前からも、皮膚の状態が落ち着いていても皮膚の中では軽微な炎症が続いているということが分かっており、外用剤のプロアクティブ療法は知られていましたが、今やデュピクセントはそのようなプロアクティブ療法を実践した薬でもあると思います。人にもよりますが、外用剤より注射の方が手間がかからない新たな選択肢として位置しているという点は、かなり変化した印象をもちました。
後は、寛解導入(症状が落ち着いた状態に持っていくこと)と寛解維持(落ち着いている状態を維持すること)を明確に認識することが重要であるという印象をもちました。これに関しては定期的に評価することが重要ということと認識しています。デュピクセントを利用している方には、POEMやADCTという評価ツールを利用していますが、簡易的でなかなか優れたものだと思っています。
寛解維持(落ち着いている状態を維持すること)の外用剤の扱いも、プロアクティブ療法を強調したものではなく、リアクティブの記載もあり、柔軟なものになっていました。
また、治療の目標(ゴール)が明確になりました。「症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない」となっています。
当院の治療方針は、個々の患者さんの生活環境や病状に応じて治療方法を組み立てているスタンス(オーダーメイド治療)を当院はとっていますので、今回のガイドラインを納得するものであったと思います。デュピクセントという新たなニーズも加わり、いろいろな選択肢を提供できるようにこれからも努めてまいります。
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